【特別企画】目からウロコの産業用センサ活用術

2017/09/01

  • Contrinex

砂川 裕樹

展示会来場者が驚きの声!透明な瓶や薄いビニールシートを100%の精度で検出する活用術(その1)

今回から不定期連載の特別企画「目からウロコの産業用センサ活用術」をスタートしたいと思います。産業用センサで、こんな使い方ができればよいのに! というお客様のニーズに応えるセンサについて紹介していきます。今回から2回にわたり、画期的な光電センサを取り上げていきましょう。

まずは、この6月に開催された食品関係の国際食品工業展「FOOMA JAPAN 2017」に参考展示したContrinex社の光電センサ「TRU-C23PAシリーズ」【★写真1】です。実はこのセンサは、来場者の皆様から「これは革命的!」と大反響を巻き起こした期待の製品なのです。


【★写真1】UV光源を採用し、確実に透明体を検出できるContrinexの光電センサ「TRU-C23PAシリーズ」。

革命的と言われるのは、決して大げさな表現ではありません。今回はこの理由について解き明かしていきましょう。その前に、光電センサにはいくつかの検出方式がありますので、その方式について簡単に触れたいと思います。

たとえば、最もベーシックでシンプルな検出方式は、投光器から検出体に光を照射し、その検出体からの反射光を受光することで、物体の有無を検出する「拡散反射型」でしょう。次によく知られているのは、対向する投光・受光器を用意し、その間を検出体が遮ることで物体を検出する「透過型」です。

それから透過型の応用として、センサの投光が検出体をすり抜け、さらにその先にあるリフレタ(反射板)から戻ってくる光を検出する「回帰反射型」という方式があります。これは検出物体を通る際の減衰を判断し、物体の有無を認識する方式です。このほか「狭視界反射型」「限定反射型」「距離設定型」「光沢度判別用反射型」などもありますが、割愛させていただきます。

さて話を戻しますが、なぜContrinexの光電センサが画期的かと申しますと、2つの独自技術を採用し、検出精度100%を達成しているからです。特に食品業界などで、透明のビニールや薄いフィルム包装、液体の入ったビンなどを検出しようとするとき、お困りはありませんでしたか?

そもそもビニールやフィルム包装などの透明体は、光をすり抜けてしまいます。透過型を利用すると、透明体の場合には光をほとんど減衰させずにすり抜けてしまうため、受光側の光強度(INTENSITY)の変化が小さく、物体の有無をうまく判断できません。そこで回帰反射型によって、透明体を一度すり抜けた光を、さらに反射させ、もう一度検出体を通し、光を減衰させ、光強度の変化を見ていました。

メーカー各社では、透明体を検出できる光電センサを開発するために、これまで創意工夫を凝らしてきました。ただし、従来までの光電センサの光源は、可視光が使われていました。そのため薄く透明なフィルムでは、回帰反射型であっても、光量の減衰が小さく、うまく検出ができないケースがありました。また、透明ガラスなどの表面には凹凸があるため、光が散乱して1つの物体を2回に数えてしまうなど、誤検知の原因にもなります。

たとえば、100本のビンをカウントする際に、もし1本の数え間違いがあったとしましょう。「1本ぐらいならば誤差範囲では?」と思われるかもしれませんが、ちょっと考えてみてください。もし1日に10万本のジュースをカウントする大量生産ラインがあったとき、その精度では1000本もの誤差が出てしまうことになります。これでは現場も大変です。

ところが、Contrinexの光電センサならば、そんな課題もクリアしてくれます。というのも、同社のパテント技術と、センサ光源に世界初となる偏向UV(紫外線)を採用しているからです。透明体にはUVを吸収する性質があります。その性質を活かし、受光側では光量が可視光と比べ大幅に減衰します。対して、従来のセンサでは先述のとおり減衰量が小さいため安定した検出ができません【★写真3】。


【★写真3】光源がUV光と可視光の場合の減衰量の違い。UV光では、透明体から返ってくる光量の強さ(INTENSITY)が大幅に減衰している。

そのため、これまで検出が困難だった透明体の正確な検出も可能になるのです【★写真4】~【★写真6】。これが来場者の皆様が驚きと関心を抱かれた大きな理由です。


【★写真4】ラップのような薄い透明フィルムでも、UV光源を利用した光電センサならば安定して検出できる。


【★写真5】非常に透明度の高いガラスの検出にも最適。検出光の散乱による誤検知がなく、確実にカウントが可能。



【★写真6】衛生に厳しいEcolab認定で食品業界に適し、食肉パックの検出・カウントも可能。IO-Link経由で感度調整をリモートで行える。


さらに光量の減衰値が大きいということは、検出の信頼性のみならず、経時的な環境変化に対しても強いことを意味します。一度セッティングすれば、何度も調整する必要はありません。段取り替えによって検出体が変わってもセンサの感度調整も不要になります。

ちなみに、このTRU-C23PAシリーズの検出範囲は1000mmとなっており、感度調整(ティーチング、IO-Link経由)、出力(PNP/NPN、ライトオン、ダークオン、スタビラティアラーム)、接続(ケーブル、コネクタ)の組み合わせによって、計8タイプのセンサをご用意しています。

ケーメックスの社内検証チームは、これまで透明シートやフィルムだけでなく、液体の入った透明ビンや、お菓子用の丸みを帯びたカップなども含めて、たくさんの対象で実験を行ってきました。こちらでも100%という驚異の検出率を確認できました。とはいえ、「まだ本当にそんなに精度が良い製品が存在するのか?」と思われるかもしれません。そこで次回は、我々の検証結果についても可能な限り公開してみたいと思います。

また、この光電センサは10月に開催される日本国際包装機械展「JAPAN PACK 2017」において、弊社ブースで展示する予定です。ご興味のある方は、ぜひ弊社ブースにお立ち寄りいただき、この目でContrinexの光電センサの凄さを体感してください。ブース番号4A-09にて、社員一同お待ちしております。

 

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砂川 裕樹プロダクトマネージャー

Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。

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