【特別企画】目からウロコの産業用センサ活用術

2017/09/27

  • Contrinex

砂川 裕樹

透明な瓶を100%の精度で検出するって本当? 偏向UV光電センサの威力を検証!

前回に続き、お客様から非常に高い評価をいただいているContrinex社の透明体検出用光電センサ「TRU-C23PAシリーズ」【★写真1】についてご説明したいと思います。


【★写真1】光源に偏向UV(紫外線)を採用したContrinex社の光電センサ「TRU-C23PAシリーズ」。

この光電センサですが、10月3日~6日までの4日間、日本国際包装機械展「JAPAN PACK 2017」において、実機を展示することになりました。ご興味にある方は、ぜひ東京ビッグサイトの弊社ブース(ブース番号4A-09)までお越しいただければと幸いです。

さて予告したとおり、今回はケーメックス社内にてTRU-C23PAシリーズの素晴らしさを検証した結果についてご報告したいと思います。実は、我々自身もお客様より「これまでいろんなセンサを試したけどこの透明体は検出が難しくて悩んでいる…」と伺っていたので最初は半信半疑でした。しかし結論から申し上げますと、検証した限りにおいて、やはりTRU-C23PAシリーズの検出精度は100%になることを確認できました。

透明のビニールや薄いフィルム包装、液体の入ったビンなどを光電センサで検出する際、透明体は光をすり抜けてしまいます。光電センサは、光強度(INTENSITY)の変化を受光部で読み取ることで、そこに対象物があることを判断します。従来の方法では、検出すべき光強度の変化が少ないために、高精度な検出が困難でした。

そこでTRU-C23PAシリーズは、センサ光源に透明体でも減衰しやすい偏向UV(紫外線)を採用することで、この問題をクリアしたのです。我々は、これまで正確な検出が難しかった透明シートやフィルムだけでなく、液体の入った透明ビンや丸みを帯びたカップなども含めて、20種類以上の対象物で実験を行ってみました。

新製品と比較するために、可視光を採用した標準的なContrinexの光電センサも試してみました。

まずは透明または半透明なアクリル板での実験です。半透明な物体は、もともと光の減衰が大きいため、TRU-C23PAシリーズでも従来のセンサでもほぼ結果は同じです【★写真2】。一方、透明な物体では、従来センサと比べ、光の減衰値に格段の違いが出ていることがわかります【★写真3】。つまり、この減衰が大きいほど、判別のしきい値の範囲に余裕が生まれ、精度のよい検出ができるわけです。


【★写真2】実験結果その1。半透明な物体の検出。従来型の可視光センサも、UVセンサも結果は同じで、受信する光強度の変化に差はない。


【★写真3】実験結果その2。透明な物体の検出。従来型の可視光センサもUVセンサで、受信する光強度の変化に明らかな差が出ていることがわかる。

次にカラーフィルムについての実験結果もご紹介しましょう。当初の予想としては、色付きのフィルムなので、半透明フィルムと同じような結果が出るものと考えていました。しかし、一部で意外な結果も出ています。

まず、紫・青・薄青の透明アクリル板の場合の結果を示します。こちらは新製品も従来センサーもそれほど差がなく、光が減衰しているため、それなりに精度よく検出できることがわかりました【★写真4】【★写真5】【★写真6】。


【★写真4】実験結果その3。カラーフィルム(紫色)の検出。新製品も従来センサもそれほど差がなく、光が減衰している。


【★写真5】実験結果その4。カラーフィルム(青色)の検出。新製品も従来品では少し強度に差が出るが、ある程度は許容できる範囲だろう。


【★写真6】実験結果その5。カラーフィルム(薄青)の検出。同様に新製品も従来品では少し強度に差が出るものの、許容できる範囲だ。

では、橙や赤のフィルムの場合はどうでしょう? この実験は意外な結果になりました。【★写真7】【★写真8】のように、センサ側で受信する光強度が従来製品と比べて差が現れていることが明らかです。標準的な可視光を用いる光電センサは、光の減衰が小さいため、橙や赤の透明体を検出するしきい値の設定によっては、うまく検出できない可能性があります。しかしTRU-C23PAシリーズならば光の減衰が大きく、橙や赤の透明体でも確実に検出できます。


【★写真7】実験結果その6。カラーフィルム(橙色)の検出。明らかに新製品と従来品では、受信強度に差が出ていることがわかる。



【★写真8】実験結果その7。カラーフィルム(赤)の検出。こちらも橙色と同様に、明らかに新製品と従来品では、受信強度に差が出ている。

また、色によって減衰量が異なるということは段取り替えによってセンサの光強度の調整が必要となります。TRU-C23PAシリーズはその点調整不要とも言えるでしょう。

もうひとつ面白い実験をご紹介しましょう。これは液体入りの透明ビンでの結果です。ビンは表面が湾曲していますから、光が当たれば散乱します。ビンの中身の液体も光を拡散するため条件はより悪くなります。しかし、このような場合でもTRU-C23PAシリーズは、安定して光を減衰させ、物体を検出することができます。

この実験結果を【★写真9】に示しました。従来のセンサでは、受信側の光強度の変動が激しくて、大きな山(光強度が強い場所)が2回ほど現れていることがわかります。不安定なこの状態では、コンベアから流れてきた物体が本当は1個なのに2個あると誤ったカウントをする恐れがあります。実は、これがお客様が苦労していたところなのです。しかしTRU-C23PAシリーズの結果を見てください。これまでと同様に安定した結果になっていますので、誤検知することはありません。


【★写真9】実験結果その8。液体入りの透明ビンの検出。従来製品では信号強度がバタつくため、誤検知しやすいことがわかる。一方、新製品の受信光の強度は安定しているため、精度が高い。

このように、我々の検証結果ではTRU-C23PAシリーズの検出精度は100%であり、誤検知もしないことがわかりました。もちろん工場内は理想的な実験室の環境とは異なり、さまざまな外乱が発生します。そのため、まったく同じ結果が得られるとは限りません。しかし、従来の光電センサと比べてみれば、その差は歴然です。これが我々がTRU-C23PAシリーズを自信をもって推奨する大きな理由であり、お客様が期待している点なのです。

冒頭でも触れましたが、日本国際包装機械展「JAPAN PACK 2017」において、TRU-C23PAシリーズを展示させていただきます。ぜひ弊社ブースにお立ち寄りいただき、このセンサの凄さを実感していただければ幸いです。

 

 

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砂川 裕樹プロダクトマネージャー

Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。

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