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【特別インタビュー】台湾の最大手IPCメーカー、IEI本社のKai氏に訊く!

2020/04/03

菊池雄一郎
菊池雄一郎

【特別インタビュー】台湾の最大手IPCメーカー、IEI本社のKai氏に訊く! iREXの出展から理解する2020年の戦略

ご無沙汰しております、ケーメックスの菊池です。昨年12月に東京ビッグサイトで開催された「2019国際ロボット展」(iREX)に合わせ、台湾のIPCメーカー最大手、IEI本社からKai氏が来日されました【★写真1】。そこで今回のコラムでは、同社の新製品や、2020年の展開について話をうかがいました。


【★写真1】台湾 IPCメーカー最大手、IEI IntegrationのKai氏。


さまざまなサイズの組み込みボードを幅広くラインナップ

ーー貴社はIPCや組み込みボードなど、幅広い製品を開発していますね。今回の展示で目玉となる製品について教えてください。

Kai氏 まずは組込みボードを紹介したいと思います。IEIは、さまざまなサイズの組込みボードを製品としてラインナップしています。

特にオススメしたいのが新製品の産業用CPUボード「IMBA-Q370」です【★写真2】。Intel® Generation Core/Pentium/Celeonと新チップセットの「H370」を採用しています。RS232×4、RS232/422/485×2、USB3.0×4およびUSB2.0×2など、I/Fのポート数が多い点も特徴です。


【★写真2】新製品の産業用CPUボード「IMBA-Q370」。
Intel
® Generation Core/Pentium/Celeonと新チップセットの「H370」を採用。

またEPIC規格の小型組込みシングルボード「NANO-UTL5」も新製品として用意しました【★写真3】。CPUはMobile Corei7/Celeronで、チップセットにQM87を採用しています。こちらはモバイル用途ですが、I/FはRS-232×2、RS-422/485×1、USB2.0×4、USB3.0×2を搭載しています。


【★写真3】EPIC規格の小型組み込みシングルボード「NANO-UTL5」。
CPUはMobile Corei7/Celeronで、チップセットにQM87を採用。


AIに特化した産業用組込みBOX型コンピュータ

ーー小型のIPCに関しても、いまAIに特化した高性能な新製品を開発中ですね。

Kai氏 今回は参考出展となりますが、産業用組込みBOX型コンピュータ「TANK-870-AI」【★写真4】があります。これは、以前コラムで紹介したTANKシリーズhttps://www.kmecs.com/techplus/ipc/20180402_000075.htmlの兄弟機で、AIに利用できるよう進化しています。


【★写真4】組み込みBOX型コンピュータ「TANK-870-AI」。
インテル
®の深層学習ツールキット「OpenVINO」をセットアップして提供。

本機には、インテル®が提供する深層学習ツールキット「OpenVINO」https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/internet-of-things/solution-briefs/openvino-toolkit-product-brief.htmlがセットアップされており、動画像データからディープラーニング解析による推論が容易に行えるようになっている点が大きな特徴です。

ブースでは、カメラでリアルタイムに撮影した人物の画像を解析し、工場現場で正しい服装を着用しているかを判断し、チェックするデモを行いました【★写真5】。帽子をかぶっていなかったり、正規の作業着を着ていない人をカメラが認識すると、アラートが出る仕組みです。


【★写真5】TANK-870-AIとOpenVINOを使用した人物画像の解析と、正規の作業着のチェック。
工場に入る前に実施してアラートも出せる。

ーーちなみに、なぜTANK-870-AIではNVIDIAのGPU製品を使わないのでしょか?

Kai氏 端的にいうと、NVIDIA製品は価格が高いからです。GPUを使わなくても、インテル®のCPUとOpenVINOだけで、そのまま推論や学習が可能です。コスト的には、コンシューマー用PCと変わらない価格でご提供できるので、メリットが大きいのです。


手のひらサイズの超コンパクト組込みコンピュータでもAI!

ーーさらに、とても小さな組込みコンピュータも展示されていますね。

Kai氏 「STD-1」【★写真6】は、外形137×102.8×52mmという超小型サイズのIPCです。外観からわかるように、外側にフィンが付いており、ファンレスで自然冷却することが可能です。
この小さなサイズにUSB3.0×4、RS232/422/485×2、LAN×2、VGAとHDMI出力、マイク/ライン入出力といったI/Fを凝縮しています。実は、このIPCでもAI推論が行え、エッジコンピューティング用に使えます。


【★写真6】外形137×102.8×52mmという超小型サイズのIPC「ESSO STD-1」。
こちらでもAI推論が可能で、エッジコンピューティング用に使える。

ーーファンレスのパネルコンピュータも産業用に人気ですよね。ここに展示されているパネルコンピュータの特長もぜひ教えてください。

Kai氏 組込みパネルPCとして、15インチの「AFL3-W15A-BT」と、15.6インチの「PPC-F15B-BT」をご紹介しています【★写真7】。
前者はフレーム(ベゼル)がプラスチックで、防水性はIP64に準拠し、動作温度-20℃~+50℃です。PoE(Power over Ethernet)に対応しており、イーサネットで電力を供給できるという特徴があります。
一方、後者のほうはフレーム部が金属になっており、かなり環境がへビーな厳しい場所でも使えます。防水性能はIP65に準拠し、動作温度は-10℃~+50℃です。


【★写真7】15インチの「AFL3-W15A-BT」(左)と、15.6インチの「PPC-F15B-BT」(右)。
後者はベゼルが金属製で、よりヘビーな環境に対応。

ビデオコンパニオンロボット「AfoBot」の最新バージョンも

ーー昨年、IEIはユニークなビデオコンパニオンロボット「AfoBot」を発売されましたhttps://www.kmecs.com/techplus/ipc/20180604_000080.html。新しいロボットも登場していますね【★写真8】。


【★写真8】ビデオコンパニオンロボット「AfoBot」。
左側が機能強化された最新バージョン。画面サイズが大きくなり、サウンド面での改善も行われた。

Kai氏 AfoBotがバージョンアップされ、より使いやすい形として機能が強化されています。まず画面サイズが一回り大きくなり、見やすくなりました。またサウンドについても、以前までは前面にスピーカーが付いていたのですが、最新版は全方位での出力となり、音量もヘッド部のバーをスライドさせることで簡単に調整できるようになりました。


OSについては以前と同様に、IEIの子会社のQNAP社とタッグを組んで開発したものです【★写真9】。AfoBotは、Google HomeやAmazon Echoのような使い方ができるコミュニケーションロボットです。メールやテレビ会議、翻訳機能など、QNAPのアプリも利用できます。たとえばテレビ会議で海外の相手と会話する際に、日本語を話しながら、相手には英語で同時通訳するといったことも可能です。


【★写真9】AfoBotの画面。OSには軽量なQNAPを採用。
メールやテレビ会議、翻訳機能など、QNAPのアプリを利用できる。

ーー最後になりますが、今後の貴社の展開について教えてください。

Kai氏 今後の産業界は、IoTやAIの世界がより進展していくと思います。IEI本社でも、今年からAIをメインの戦略として据えようとしています。そこでAIに特化したIPCもどんどん出していく方針です。

またネットワーキングに関して積極的に新しい展開を考えています。ルータなどの機器をソフトウェア的に仮想化して定義できる(VNF:Virtual Network Function)ネットワークアプライアンスの新製品なども登場していますので、またぜひご紹介したいと思います。
我々はIPCだけでなく、これからも最先端技術にフォーカスして、お客様に満足していただける製品をご提供していきますのでぜひご注目ください。

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菊池雄一郎

菊池雄一郎
IPCスペシャリスト

IPC製品の技術サポートを担当しているオープンなアキバ系です。週末は秋葉原にてニッチなデバイスを求めてさまよっております。最近のブームはトラックボール。なかなかしっくりくる物にまだ巡り合えませんが、仕事も趣味も全力投球!お客様の問題点・ご希望に応えるよう、お気に入りのトラックボールに出会えるよう日々全力で取り組んでいます。