【連載2】いかにして正しいケーブルを選定するか! 工業用ケーブル選びの勘所

2017/01/09

  • LAPP

第2回 電源用&コントロール用ケーブルの選び方とは?

前回は、ケーブルに電気機器や装置用の給電・配電を行う「動力・電源ケーブル」や、計装・測定・制御に利用する「制御ケーブル」、さらにデータ転送を主とする「データケーブル」という3つの分類があることをご説明しました。今回は独・Lapp 社のブランドである「オイルフレックス」のうち、「動力・電源ケーブル」と「制御ケーブル」について、簡単にご紹介しましょう。

動力・電源ケーブルや制御ケーブルの用途は、一般的な産業機械用、工作機械用、ロボット用、化学系プロセス機械用、自動車・建機用、ビル・空港・駅・発電所などの施設用、食品・飲料機械用、農業機械用、医療機器用など非常に多岐にわたります。


動力・電源ケーブルや制御ケーブルの用途は、写真のように非常に多岐にわたる。


このような幅広い用途からケーブルを選ぶ場合に、たとえばオイルフレックスでは「汎用」「悪条件用」「サーボモータ用」「可動部用」「固定配線用」「特殊用」「耐熱用」「制御盤用単線」というように、目的に合わせた多品種のケーブルをご用意しています。

当然のことですが、動力・電源ケーブルは機器への電源供給として使われるものです。ケーブル心数は、2心の単相交流線から、5心の3相交流線(L1/L2/L3、および中性線、接地線)まで選択肢があります。またケーブルのカラーコードはVDE準拠です。

ケーブルの公称断面積は、機械的な強度面から基本的に0.5平ミリ(0.5sqmm)以上になっています。ただし欧州規格とJIS規格では導体サイズが一致しないことがあるため、製品を選択する際は注意点として念頭に入れておきたいところです。いずれにしても、必要とされる許容電流値に合った各種ケーブルをご用意していますので、ご安心ください。

●制御ケーブルと同時に使う動力・電源ケーブルも用意

動力・電源ケーブルは、単体で用いるだけでなく、制御ケーブルと同時に使いたいケースもあります。むしろ現場では、動力・電源ケーブルのみで利用するよりも、制御ケーブルと併せて使うほうが多いかもしれません。

たとえば制御ケーブルは、各種装置の制御回路内や、電気機器・配電盤などの内部配線、センサー・スイッチなどの結線にも用いられます。オイルフレックスの制御ケーブルは、心数が2心からありますが、理論的には無制限の多心まで対応できます。こちらもケーブルがナンバリングされており、公称断面積も0.5平ミリ(0.5sqmm)からご用意しています。

制御用ケーブルのなかで、最も良く使われるLAPP製品といえば、汎用タイプの「オイルフレックス・クラシック110」が挙げられるでしょう。広範囲のオイルと化学薬品への耐性を有しながらも、堅牢で柔軟な性質があります。またケーブル外径が小さいため、配線スペースの削減が行える点もメリットのひとつです。


汎用タイプの制御用ケーブル「オイルフレックス・クラシック110」は一番の売れ筋商品。ナンバーコード、コンパクト、軽量、VDE認定といった特徴を有する。



次にモータ動力用と制御用ケーブルが複合された形で使われるケースとして、サーボモータ用(インバータ用)ケーブル「オイルフレックス・サーボ 700シリーズ」についても触れておきましょう。サーボモータでは、モータの温度やブレーキの監視などのために、信号を伝送する制御用ケーブルが複合的に使われることがあります。


サーボモータ用(インバータ用)の「オイルフレックス・サーボ 700シリーズ」。個別シールド、一括シールドタイプを用意。省スペース化、作業効率の改善、信頼性・安定性に貢献。



これらの信号は、モータからのノイズを受けやすいため、耐EMC特性を向上させる工夫を凝らしています。ケーブルをツイストペアにして、編み組み一括シールドを施したり、アルミフォイルのラミネート処理を施した種類の製品もあります。ケーブル選定時には、このような点にも着目したいところです。

またケーブルをご利用になる場合には「可動部か、あるいは固定配線か?」という点にも留意する必要があります。ケーブルは固定で配置されている場所だけに使われるものではありません。最も分かりやすいものは、パワーチェーンやロボットのように、連続的に動くような機械でしょう。

このような用途では、首振りでケーブルが屈曲したり、引きずられながら曲がったり、ねじられて回転するような複雑な動作が繰り返されることもあります。その際にはケーブルがどのくらい変形するのか、その曲げ半径やねじれ
角度(張力)、移動速度、屈曲の繰り返し回数などを考慮し、動作に耐えられる製品を選ぶ必要があります。これらの選定法についても今後詳しくご紹介していく予定です。

次回は、データ転送をメインとする「データケーブル」について、ご説明していきたいと思います。それでは、また。

 

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