【連載3】いかにして正しいケーブルを選定するか! 工業用ケーブル選びの勘所

2017/01/30

  • LAPP

第3回 データ用ケーブルを俯瞰しましょう!

前回は、Lapp 社のブランドである「オイルフレックス」のうち、「動力・電源ケーブル」と「制御ケーブル」について簡単にご紹介しました。今回はデータ転送をメインとする「データケーブル」について触れたいと思います。

Lapp社のデータケーブルには、過酷な環境でも高い耐久性を誇るデータ(信号用)ケーブル「UNITRONIC」(ユニトロニク)、工業環境用に開発されたイーサーネットケーブル「ETHERLINE」(イーサライン)や、イーサネットでもノイズを受けないようにするためにイーサネット用光ファイバケーブル「HITRONIC」(ハイトロニク)が用意されています。

データケーブルのUNITRONICは、最も種類が豊富なので、こちらからご紹介しましょう。

【UNITRONIC】
UNITRONICには、用途や目的別に「DINカラーコード」「ハロゲンフリー」「UL/CSA規格」「カラード」「可動部用」「低キャパタンス」「バスケーブル用」「インピーダンス100‐120Ω用」「PROFIBUS用」「CC-LINK用」などがあります。


UNITRONICシリーズ。用途や目的別に「DINカラーコード」「可動部用」「バスケーブル用」など多様な製品を揃える。各ケーブルによって、ツイストペア、ハロゲンフリー、低キャパシタンス、UL/CSA規格などもあり。


・DINカラーコード

VDE規格に準拠し、DINカラーコードを採用したデータケーブルです。標準的な「LiYY」や、銅編組による一括シールドでノイズの影響を低減する「LiYCY」、銅編組シールドでポリウレタンシースのため、耐断裂性・耐油性に優れた特性を発揮する「PUR CP」などがあります。

・可動部用
パワーチェーン用に開発された柔軟性に富んだデータケーブル「FD」/「FD CY」(銅編組一括シールド)のほか、-40℃の低温下でも優れた柔軟性を発揮する「FD CP Plus」もラインアップとして揃えています。

・バスケーブル
インターバス、プロフィバス(PAも含む)、デバイスネットのほか、CANバスやCC‐LINK、セーフティバスなどのケーブルがあります。また各ケーブルによって、ツイストペア、ハロゲンフリー、低キャパシタンス、UL/CSA規格など、さまざまな用途や規格に対応する製品をご用意しています。

【ETHERLINE】
産業用のイーサネット(LAN)ソリューションや、セキュリティシステムとファイアウォール用のケーブルとして用いられるものです。イーサネットケーブルにはいくつかの規格があり、その規格(カテゴリー)によって、ケーブルの価格もかなり違ってきます。

ETHERLINEには、「Cat5」(100Mbps)、「Cat5e」(1Gbps)、「Cat6A」(1Gbps)、「Cat7」(10Gbps)のすべてのラインナップがあり、それぞれに固定部、または可動部で用いられる場合に適したケーブルをご用意しています。
最適な伝送速度を得るためには、正しいカテゴリーのケーブルとコネクタを選定する必要があります。


ETHERLINEシリーズ。産業用イーサネット(LAN)ケーブル。固定部または可動部で使える「Cat5」「Cat5e」「Cat6A」「Cat7」を用意。規格により、価格もかなり異なる。



【HITRONIC】

工場内では、前出のETHERLINEのようなイーサネット用の銅ケーブルが利用できないケースもあります。たとえば溶接ロボットは、溶接機自体がアークスタート時やインバータ制御時に高周波ノイズの発生源となり、信号線に悪影響を与えてしまうことがあります。そこでノイズの影響を受けないようにするために、光信号で伝送するわけです。また大量のデータを高速伝送する際にも用いられます。

HITRONICには、多数の一般的な光ファイバーケーブルのほか、ポリマー光ファイバーケーブル、プラスチッククラッド・ファイバケーブルなども用意されています。


HITRONICシリーズ。高周波ノイズの発生源となるもの近くにがある場合、ノイズの影響を受けないように光ファイバケーブルを用いる。


前回と今回の2回にわたり、Lapp社のオイルフレックスの大分類として「動力・電源ケーブル」「制御ケーブル」「データケーブル」について、駆け足で俯瞰してきました。個別のケーブルの特徴については、また別の機会に詳しくご説明させていただきます。

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