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いまさら聞けない! NFPA基本の基本 【第2回】NFPA70とNFPA79は過去にどう改訂された? NFPA79の2007年改定で日本が騒然となった理由

2019/03/12

砂川裕樹
砂川裕樹

NFPA79の改定でAWMケーブルが使えなくなって大騒ぎ!

第1回のコラムで、NFPA70(NEC、全米電気工事基準)とNFPA79が一定期間ごとに改定されてきたことに触れました。NECは、2008年/2011年/2014年/2017年と3年ごとに改定されており、NFPA79のほうは、2007年/2012年/2015年/2018年に改定されています。

過去を振り返ると、弊社の取り扱い製品に一番大きな変化を与えたのはNFPA79の2007年改変版のときでした。この改定において、特に[12.2.7.3]の項目が、まさに日本の産業界を激震させたのです。それは以下のような一文でした。

<12.2.7.3 器具の配線材料。単導体又は多導体タイプAWMは許容されない。>
<例外:リストに記載された組立品の一部が意図する用途に適している場合、タイプAWMは許容されなければならない。>

<原文>
 Appliance Wiring Material Single conductor or multi-conductor Type AWM shall not be permitted.
 Exception: When part of a listed assembly suitable for the intended application, Type AWM shall be permissible.


「リストに記載された組立品」というのは、ULなどの認定機関に安全性を認証されたリステッド認証を得た完成品のことを指します。
例えば制御盤がUL508Aを取得していれば、制御盤内の配線にAWMケーブルを使用することができる、というのが例外に書かれていることになります。

ここで許容されないと明言されたAWMとは、かつて本コラム(https://www.kmecs.com/techplus/lappkabel/20170901_000049.html)でも紹介した「Appliance Wiring Material」の略称のことです。AWMは、電源制御回路など幅広い用途に使用されるケーブルで、UL規格でリコグナイズド認証されたものです。

ちなみにリコグナイズド認証とリステッド認証については、以前のコラム(https://www.kmecs.com/techplus/lappkabel/20170731_000044.html)をご参照ください。簡単にいうとリコグナイズドは、部品・材料などのコンポーネントに対し、リステッド認証は完成品に対して、ULの要求事項を満たす場合に使用が許可されるUL認証マークです。

屈曲性のある制御ケーブルや、ケーブルトレイケーブル、データケーブルやサーボやモータ用ケーブルなど産業機械には多くの種類のケーブルが用いられていますが、これらが原則として、「すべてリステッド認証ケーブルに切り替えてください」という話になったわけです。

この改変により影響を受けるのは、NFPA79は北米の規格だからといって北米の機械メーカーだけではなく、北米に輸出をする世界中の機械メーカーも含まれるわけです。AWMケーブルは安価で優れた屈曲性から取り回しもしやすく高い汎用性を買われて幅広い用途で用いられていましたが、2007年度版からAWMケーブルの使用が禁止されたのです。

弊社としてはありがたいことに、この改変をきっかけに多くの日本メーカー様から「すぐにでもリステッド認証ケーブルを紹介してほしい」という声を頂戴しました。

LAPP社ではすでに実績のあるリステッド認証品を多くラインナップしていましたので、お客様の要望に応えることができました。


なぜAWMケーブルが使用禁止とされたのか?

さて、ではなぜAWMケーブルが使用禁止とされたのでしょうか?

それには様々な要因があるのですが、代表的なものとして以下が挙げられます。

1. NECではAWMに関して電気的(電圧、電流)、物理的(難燃性、環境性)、機械的要求(材質、絶縁体厚み)などの規定をしていない。
2. NECでは建屋内の配線にAWMは認められていないが、産業機械の設置時に、AWMが汎用的であるがゆえに間違って使用をされていた。(例:メイン供給電源(サーキットブレーカーやヒューズボックス)から機械の制御盤までにAWMを使用)
3. AWMケーブルの難燃性はものにより幅広いため。AWMとはいっても、"UL horizontal"の最低限の難燃性と、"FT6 plenum test"の最高レベルの難燃性のものがある。燃えやすいものは高温環境で過電流が流れると火災の原因となったり、火災を広げかねない。
4. AWMは0.002インチからの絶縁体厚さを認めており、AWMケーブルの機械的な強度も、ものにより幅広いため。薄い絶縁体のものは導体がむき出しになり感電の危険性を及ぼす。

つまり、AWMケーブルを本来正しくない箇所に設置されていたため、安全性の観点から本来の正しい場所で使用してもらおうと、使用が制限されたということになります。

●2007年版改変によるまとめ

AWMケーブルをもうまったく使用できないのかというとそうではありません。
例外にもあるように、ULリステッド認証を取得した完成品の装置内であれば、これまで通り安価なAWMケーブルを使えます。

制御盤など、そもそも北米向け機械ではUL508Aの取得が必須なものであれば特に問題ではありません。
しかし、これが複数の配電盤やロボットからなる自動製造ラインとなるとどうでしょうか?

もちろん自動製造ラインまるごとひとつで完成品としてリステッド認証を取得できるのであればAMWケーブルを使えますが、実際は容易なことではありません。複数の装置となる分、部品数も増え、承認プロセスのための時間もコストもかかります。

面倒な話ですが、いずれにせよ2007年のNFPA79改定以降、産業用機械のケーブルを使う際はリステッド認証の製品を使うほうが北米への機械輸出がスムーズになるということに間違いはありません。

今回のコラムはこれで終わりです。もちろんNFPA79は、その後も改定が続いています。実は、この2007年版の改定後、またもや思わぬ弊害が発覚したのです。その話は次号のコラムをお楽しみに!

ちなみに、NFPAの最新情報について知りたい方は、弊社のホワイトペーパーをダウンロードしていただければ、より詳しい最新情報について学ぶことができます。

ダウンロードは以下のURLよりご案内しております。

https://www.ipros.jp/product/detail/2000429212/

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砂川裕樹

砂川裕樹
プロダクトマネージャー

Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。

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