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いまさら聞けない! NFPA基本の基本【第7回(最終回)】2018年のNFPA79改定でも安心して使える! LAPP社が提供する「最強のVFDケーブル」

2019/12/16

砂川裕樹
砂川裕樹

NFPA79 2018年改訂版のまとめ

いまさら聞けない! NFPA基本の基本 シリーズ
【第1回】NFPA70とNFPA79の違い。勧告なのに、なぜ遵守する必要があるの?
【第2回】NFPA70とNFPA79は過去にどう改訂された? NFPA79の2007年改定で日本が騒然となった理由
【第3回】NFPA79の2007年の改定は茨の道? またもや思わぬ弊害が発覚!
【第4回】大手自動車メーカーで起きたNFPA70に関する重大なトラブルとは?
【第5回】NFPA 2018年版改訂ポイント|今までのモータ用動力線が使えなくなる!?
【第6回】2018年のNFPA79の改定に最適なサーボモータ用のケーブルとは?


いよいよ今回で本コラム「NFPA 基本の基本」も最終回になりました。これまでNFPA改定の流れとさまざまな課題について解説してきました。見た目はシンプルで、どれも同じように見えるケーブルですが、その種類や性能について非常に奥が深いことをご理解いただけたかと思います。


そして2018年版の改訂で話題になったVFDケーブルに関しても前回のコラムでお話しましたが、最後にもう一度まとめてみましょう。

VFDとは、Variable Frequency Drive:可変周波数ドライブ、つまり交流周波数を変化させることでモーターの回転速度を調整するインバータやサーボアンプを指します。VFDケーブルとは、インバータやサーボアンプからインダクティブモータあるいはサーボモータに接続するための動力線を指します。VFDケーブルに求められる性能は、PWM制御によって生じるサージを軽減するための対策だけでなく、電源ON時の突入電流によって他の機器の破壊につながりかねないケーブルの静電浮遊容量を下げる必要があり、さらに周辺機器にノイズ影響を及ばさないように優れた遮蔽性能と、他の分野で用いられるパワーケーブルやコントロールケーブルと異なる性能が求められます。

NFPA79の2018年の改訂により、第4章 4.4.2.8項の「電力変換装置からの電源回路」という規定が新たに追加されました。この項は、VFDケーブルに関して規定したものです。

<可変速駆動システムの一部として使用される電力変換装置(サーボドライブやインバータ)から給電される電線や機材は、リステッド認証を伴ったRHH, RHW, RHW-2, XHH, XHHW, XHHW-2 の印のあるケーブルもしくは電力変換装置製造者の説明書に基づき選択されなければなりません。>

この記述に関するポイントは以下の2点です。

ポイント①
リステッド認証を伴ったRHH, RHW, RHW-2, XHH, XHHW, XHHW-2 の印のあるケーブルとは:ケーブル外被にUL44で認められた熱硬化性樹脂であることを示すタイプレターが印字されているULリステッドケーブルのことです。絶縁体(ワイヤ)の材質がXLPE(架橋ポリエチレン)であることから、従来のPVC/Nylon品に比べてより安全かつ高性能であることを示します(★表1)

【★表1】UL44にて記述されているNFPA79で用いられる絶縁体材質

ではなぜXLPEが指定されたのか?なぜ安全かつ高性能であるのか、に関しては「NFPA基本の基本 【第5回】(https://www.kmecs.com/techplus/lappkabel/20190628_000103.html)」で解説していますので、そちらをご参照ください。

ポイント②
「電力変換装置製造者の説明書に基づき選択されなければなりません」の意味すること: インバータもしくはサーボアンプメーカーの推奨品としてマニュアルに記載の限りであれば、ポイント①に準拠する必要はなく、従来までの絶縁体材質がPVCのVFDケーブルが使用できることを意味します。ご利用になられるインバータもしくはサーボアンプがどのケーブルを推奨しているかについては、それぞれのメーカーにお問い合わせください。


次に、LAPP社のVFDケーブルのラインナップについてまとめてみたいと思います。

NFPA79 2018年版に準拠、VFD 2XLシリーズ

VFD 2XLシリーズは絶縁体にXLPEを使用したタイプになります。 ケーブルタイプは「RHW-2」が印字されております(★写真2)。

【★写真2】ケーブルに明確な印字がされていることが条件

XLPEはPVCに比べて以下の点が優れています。
・耐電圧が熱可塑性樹脂(PVCなど)よりも高くなるので、2XLシリーズの定格電圧は2000Vまで対応できる。PWM制御によって生じるサージに対する耐性が上昇し、長寿命。
・誘電率がPVCよりも低いため、浮遊静電容量が低い。配線長が長尺になるときや、湿った環境での使用時でも、電源ON時に電流を引き込みにくい。
・短絡により発生した熱で溶けない。


「ÖLFLEX® VFD 2XL」はスタンダードな3+1線のタイプ、「ÖLFLEX® VFD 2XL with Signal」はモーターのブレーキや温度センサ用に信号線が追加されています。 「ÖLFLEX® VFD 2XL SYMMETRICAL」はGND線が3本用意されており、ケーブル構成がシンメトリックになっているのが特徴です(★写真3)。


【★写真3】VFD 2XLシリーズ。NFPA79 2018年版に準拠。


その仕組みについて説明しますと、一般的なVFDケーブルは、3相の動力線3本(U/V/W)と、1本の太いGND線が配置されていました。特に多くのパワーが必要になる大型のモーターになるとU→GND、V→GND、W→GNDの距離が不均一なことからGND線に非常に大きな誘導電圧が生じます。これが装置のGNDラインに流れるコモンモードノイズとなり大きな影響を及ぼします。それほど大型のモーターでないのであれば、EMCフィルターを使うことでコモンモードノイズ対策はできますが、大型になればなるほど誘導電圧も大きくなり対策が困難になります。そこで「ÖLFLEX® VFD 2XL SYMMETRICAL」では、GND線を3つに分け、GND線に誘導電圧が発生しないメカニズムを採用することにより、信頼性の高いモーター制御を可能にしています(★写真4)。

【★写真4】シンメトリック構造となっており、誘導電圧および誘導電流が
実質ゼロとなることから高いノイズ抑制効果がある。

こうした大型モーター用に特化した性能となっていることから、「ÖLFLEX® VFD 2XL SYMMETRICAL」は、2000Vまでのアプリケーションに対応でき、ラインナップは1AWG(42.4mm²)~500 KCMIL (253.7mm²)とかなり太物までカバーしています。

広域の周波数特性に優れた「LAPP Surge Guard」を有するVFDシリーズ

LAPP社ではXLPE材質ではないVFDシリーズもラインナップしています。 2018年版の改訂により残念ながら準拠品ではありませんが、欧州向けや日本国内向けでも幅広くご利用になれる信頼性の高い構造となっておりますので、ご紹介させていただきます。

このVFDシリーズを知るために、内部構造についても少し触れたいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=NXbIDp-pkMU



「LAPP Surge Guard」とは、LAPP社がVFD向けに独自開発した絶縁体構造を意味します。導体を保護する絶縁体の構造に特長があり、導体側から順に、【半導体化合物層】【PVC】【ナイロンコーティング】のなんと三重構造となっています。VFD内で起こるさまざまな電気現象(反射、定常波、サージ)による悪影響からケーブルを保護し、PWM制御による高電圧のサージが起こる瞬間、この半導体化合物の層がクッションとなり、外部の層への電気ストレスを軽減することで製品寿命を延ばします。PVCとナイロンを組み合わせた外部の層により、耐熱性と機械的な強度をさらに補強し、優れた耐クラッシュ性と耐衝撃性を兼ねそろえることでUL TC-ER規格を満たすことができます。ロジスティクスなど、インバータからモーターまでの距離が長くなりがちな場合はこのTC-ER規格品を使うとケーブル設置が楽になります。TC-ERについての詳細は「NFPA基本の基本【第4回】」内で解説をしています。(https://www.kmecs.com/techplus/lappkabel/20190522_000100.html)

シールドにも工夫があります。 LAPPのVFDケーブルはすべて、高い編組遮蔽率の編組シールドと3積層のラミネートホイルテープの組み合わせで構成された優れた「スーパーEMIシールド加工」がされています。このシールド加工によって、伝達インピーダンスを最低限に抑え、シールドの内側・外側の両方の干渉波から保護します。

「LAPP Surge Guard」と「スーパーEMIシールド加工」を有するのは、VFDシリーズには、3種類のラインナップがあります。1つ目は外径を小さく保ちながらもTC-ER取得の「ÖLFLEX® VFD SLIM」、2つ目がÖLFLEX® FD VFDに信号線を加えた「ÖLFLEX® VFD with Signal」、3つ目がよりフレキシブルな可動設置向け「ÖLFLEX® FD VFD」です(★写真5)。

【★写真5】VFDシリーズのケーブル構造。導体は半導体化合物の黒い皮膜で保護されており、
これにより高いサージ耐性を得る。

これでNFPAの連載は終わりです。PWMインバータやサーボを使う制御システムや、工作機械、ロボットなどで、海外へ輸出をする際には、最新のNFPA79改定を踏まえて、ぜひ最適なケーブルをご利用ください。

その際に我々が取り扱うLAPP社のケーブルが大いにお役に立てると思います。詳細については知りたい方は、ホワイトペーパーをご請求いただくか、弊社の担当までご連絡ください。

★関連製品
ULリスティング ケーブル→https://www.kmecs.com/technical_info/standard_2_12_1.html
ULレコグニション ケーブル→https://www.kmecs.com/technical_info/standard_19_12_1.html




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砂川裕樹

砂川裕樹
プロダクトマネージャー

Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。

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