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【製品試験レポート】LAPPケーブルの水溶性クーラント耐性を試験しました!

2020/07/10

増田将吾
増田将吾


油性から水溶性のクーラント利用が加速する工作機械メーカー

産業現場において、工作機械を使っているシーンでは、切削油がケーブルにかかるため、以前から耐油性に優れたケーブルが求められていました。ところが最近ではクーラント(冷却液体)に、水溶性の切削・研削油剤を使っていくことが、工作機械メーカーのトレンドになってきました。

もちろん、従来の油性クーラントでも品質が改善されているのですが、水溶性だと原液を簡単に希釈して使えるためコストパフォーマンスが良くなること、またオイルミストが発生しにくく周囲の環境にも優しいといったメリットがあり、水溶性クーラントの利用シーンが増えている背景があります。

そうなると、ケーブルも水溶性の切削・研削油剤に対して、どのぐらい耐えられるかということが気になってくるのではないでしょうか?【★写真1】 なんとなくイメージ的には、水溶性のほうがケーブルに与えるダメージは小さいように思えますが、実はケーブルの材質によって、その影響度も大きく変わってきます。


【★写真1】ケーブルの耐性は大丈夫?

試験の内容に入る前におさらいとしてお伝えしておくと、LAPP社ではクーラントメーカー各社の製品に対して、推奨ケーブル一覧表を用意しています【★写真2】。一覧表に載っていないクーラントでも、メーカーに試験を依頼することもできるので、こちらもお気軽に弊社営業までお問い合わせ頂ければと思います。


【★写真2】クーラントメーカー各社の製品に対する推奨ケーブル一覧表<クリックで拡大画像>



ケーメックスの技術陣が大検証! 水溶性切削・研削油剤に強いケーブルはどれ?

それでは、いよいよここからがケーメックス社内での検証になります。LAPP社の各種ケーブルに対して、水溶性切削・研削油剤がどのような影響を与えるのか、試験を行ってみました。

試験内容はこの後お伝えしますが、今回押さえておきたい検証のキーポイントを先に発表したいと思います。それは、絶縁体の「電気特性の変化」【★写真3】です。簡単に言うと、水溶性クーラントによって絶縁抵抗値が下がるか否かを試験前後で評価しました。


【★写真3】検証のキーポイント

これまでは、この類の試験をする場合、外皮(シース)の物性を評価するに留まることが多かったのです。なぜかと言うと、それはケーブルを構成している各部材の役割が異なるためです【★写真4】。つまり、外皮(シース)は絶縁を目的とするものではなく、オイルや化学物質などからケーブルを守る役割だからです。例えば、耐油に強いケーブルを選らぶなら外皮(シース)はPUR(ポリウレタン)がいいかな、などです。


【★写真4】ケーブル構成部材の役割

しかし、現場で一番困るのは、外皮(シース)がクーラントに浸食されて、内部の絶縁体にまで浸漬し、電気特性の変化を起こすことです。実際に、絶縁破壊を起こしたケースも報告されています。そこで、今回は絶縁体素材/外皮(シース)素材、例えば、PVC/PVCなどいくつかの組み合わせ【★写真5】を選んで試験を行いました。


【★写真5】PVC(ポリ塩化ビニル)、PUR(ポリウレタン)、TPE(熱可塑性エラストマー)、
TPP(熱可塑性ポリマー)、PP(ポリプロピレン)


使用した水溶性クーラントは、ユシロ化学工業「ユシローケン AP-EX-E1」10%希釈液になります。70℃の恒温槽【★写真6】で、200時間経過と400時間経過における状態変化と電気特性(絶縁抵抗値)を測定しました【★写真7】。


【★写真6】今回利用したETAC製の精密恒温恒湿槽「MTH-4015-60」。
ケーブルを試験油に浸して、200時間/400時間で試験を実施。


【★写真7】400時間後のケーブルの状態。
長さはほとんど変わらないが、材質によって外径が変わったものがあった。


気になる結果は、OLFLEX 408 P/ OLFLEX FD 855 CP/ OLFLEX SERVO FD 796 CP/の3つが電気特性、物性ともに良い結果となりました。

結果レポートは下記のURLよりダウンロードできます ※ホームページ会員様限定
https://www.kmecs.com/technical_info/download.php?id=697

ただし、クーラントの種類は多種多様で毎回が今回と同じ結果になるとは限りません。実際に使用するクーラントの特性に合わせてケーブルを選定することが大切ということになります。
クーラント液を支給頂ければ、今回同様の試験を弊社で承ることができますので、お気軽にケーメックスにお問い合わせ頂ければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。それでは、また次回。



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増田将吾

増田将吾
プロダクトマネージャー

主にMurrplastikやBinderを担当しています。ヨーロッパの優れた製品を幅広く皆様にご紹介していきたいです。週末にはボルダリングジムに通って汗を流しています。仕事もプライベートも、高い壁を越えた時の達成感は格別です。