2017 .9.1

【ツボその9】既存のシリアルデバイスからデータを効率よく収集

まだまだ使える!「NPortシリーズ」でレガシーのシリアルデバイスが現役で活躍

今回は、既存のシリアルデバイスからデータを効率よく収集する「NPortシリーズ」についてご紹介しましょう【★写真1】。

【★写真1】コンパクトなシリアルデバイス・サーバ製品NPort5110。MOXAの製品はワールドワイドでシェアNo.1を誇る。

以前までは、RS-232Cなどのシリアルインターフェースを経由し、センサー装置からPC上にデータを収集することが多かったのですが、最近のPCには肝心のシリアルインターフェースが装備されていないことが多くなっています。しかし、まだ既存装置を現役で活用したいシーンもあるでしょう。

そこで登場するのがMOXAのシリアルデバイスサーバ製品「NPortシリーズ」です。この分野の製品で、MOXAはワールドワイドでナンバー1のシェアを誇っています。シリアルデバイスサーバ製品は、基本的にRS-232Cまたは、RS-422、RS-485といったシリアル通信をイーサネット通信に変換するものです(狭義の意味でシリアル/イーサネット変換器を指します)。

同様のものにシリアル/USB変換器のような製品もありますが、イーサネット変換器の場合にはTCP/IPベースでソケット通信を行い、PC以外にPLC装置などにもダイレクトに接続できるため、産業用で好まれて使用されます。

NPortを利用する際には、いくつかの方法が用意されています。まず「Real COMモード」ですが、これは以前のシリアルポートと同様に、NPortのシリアルポートをPCのCOMポートとして認識させる方法です。仮想COMポートを割り当てるために、さまざまな専用デバイスドライバを用意しており、Windows以外に、MacOSやLinuxなどのPCのほか、組込み系デバイス(Windows CE)でも使えます。

また「TCP Server Mode/TCP Client Mode」も利用できます。これは、その名のとおりTCPのSocket通信を行うモードで、NPortをTCPサーバ、あるいはTCPクライアントにするかによって、そのモードが変わってきます。NPortがサーバになる場合は、PCからリクエストを送り、コネクションを確立後、データ通信が始まります。一方、NPortがクライアントになる場合は逆手順になります。またコネクションの手順を省く「UDP Mode」も利用できます。

さらに「Pair Conection Mode」も用意されています。これは現場で非常に重宝するモードで、NPortを2台ペアで使い、シリアル通信の延長を可能にするものです。通常ではRS-232Cは15mまでしか延長できません。そこでセンサ類とつないだ1台目のNPortと、2台目のNPortをイーサネットケーブルで100mまで延長して、ペアで使えるようにします。

NPortは、ポート数によって、1/2/4/8/16/32のラインナップがあり、そのメリットは前述のように対応ドライバーが多いことや、一般製品より保証期間が長いという点が挙げられます。

次に、NPortをより進化させたNPort Aシリーズについても触れたいと思います。実はMOXAでは独自のチップセット(ARM CPUと2MB・Flash、4MB・SDRAM、UARTなどをSoCにまとめたもの)を開発しており、消費電力を50%以下(最小で1W以下)に抑えています。こちらも「NPort 5100Aシリーズ」など、Aシリーズとして多くの製品を取り揃えています。

主な特徴は、低消費電力に加えて、シリアル/イーサネットラインにサージ保護回路を搭載していたり、1つのイーサネットポートに対して複数のシリアル通信をサポートできる点です。1つのIPアドレスで、複数のシリアルデバイスを集約できるイメージです。たとえば、RS-232、RS-422、RS-485というように、別のシリアル通信でも異なる種類の通信を設定することが可能です。

このほかにも、耐環境性に優れ、より産業用途に適しているIAシリーズや、組み込み用のMiiNePortシリーズNEシリーズが用意されています。イーサネット変換以外にも、WLANやZigBeeに変換する別ラインも取り揃えていますので、シリアルポートを備えたレガシー機器を使用したい場合に、ぜひご利用ください。