オムロンが採用したMurrplastik社の「Robotic-Kit」のラインナップと特徴をまるごと大紹介!

2020/04/03

  • Murrplastik

増田 将吾

ロボットに最適なケーブルアクセサリ「Robotic-Kit」とは?

こんにちは、増田です。前回は、弊社が総代理店を務めるドイツのMurrplastik社・ケーブルマネジメントシステム「Robotic-Kit」が、オムロン協調ロボットTMシリーズの標準アクセサリとして採用いただいたことを、
特報https://www.kmecs-automation.jp/techplus/detail_118.htmlとしてお伝えしました。

そこで今回は、もう少しRobotic-Kitの内容について掘り下げて紹介したいと思います。

そもそもRobotic-Kitは、ロボットの外側にむき出して配線されるケーブル類(フィールドバスなどのネットワークケーブルやカメラなどの映像ケーブル、エアーチューブなど)を保護する目的で用いられるアクセサリの1つです。

多関節ロボットが動くときに、たとえば何かに接触し、ケーブルを傷つけてしてしまったり、動き方によってケーブルがねじれたり、絡まってしまうこともあります。そこで従来までは、ロボットにダクト(以下、コンジットチューブ)を取り付け、外付けケーブルを通して保護していたわけです。

ただし、従来のコンジットチューブの接続は見た目も悪く、ハーネスケーブルを通せないなど、いろいろな難点がありました。そこでMurrplastik社は、ロボット各社に最適なケーブルアクセサリとして保護用の「Robotic-Kit」を発売しています【★写真1】。


【★写真1】ロボットの外付けケーブルを保護するために使用されるMurrplastik社のアクセサリ「Robotic-Kit」。
写真中央はUNIVERSAL ROBOTS社協調ロボットへの適用例。


具体的には、オムロン協調ロボットTMシリーズ、UNIVERSAL ROBOTS社、TECHMAN ROBOT社、AUBO、Kassow robots社、Hanwha社など、各メーカーのロボットに対応しています(ロボットの可搬重量に対応したRobotic-Kitをご用意しています)。



ワンタッチ着脱! ハーネスケーブルも通せる、メンテナンスが容易

このRobotic-Kitは、ドイツで高く評価されており、「GERAMAN INNOVATION AWARD'19 WINNER」を昨年受賞しました。その特徴は、ワンタッチで簡単に取り付けられる使い勝手に良さにあります。

またハーネス後のコネクタ付きケーブルも通せる点は大きな特徴と言えるでしょう。前述のように一般的なコンジットチューブを使う場合には、まずケーブルを通した後に、コネクタを結線しなければなりません。

Robotic-Kitのコンジットチューブにはスリットが入っており、そこを付属の専用ジグを用いてハーネスケーブルを通すことができます【★写真2】【★動画1】。組付け工程においても、保守の観点からみても、コネクタ付きのハーネスケーブルをコンジットチューブに容易に通せる点は大きなメリットです。


【★写真2】Robotic-Kit(写真はCタイプ)の大きな特徴はコンジットチューブにスリットが入っており、
付属の専用ジグを用いてハーネスケーブルを通せること。取り付け方は動画1を参照。

【★動画1】


外部ケーブルは一度コンジットチューブに通せば終わりというわけではありません。長年使えばケーブルが断線することもあるでしょう。そういった際に容易にケーブル交換を行えるため、現場で重宝するのです。メンテナンスという視点も忘れてはならない重要なポイントです。



ロボットに合わせて、4タイプ(松竹梅の機能)からチョイスできるRobotic-Kit

ここからは、Robotic-Kitのラインナップについて紹介しましょう。もともとMurrplastik社は、コンジットチューブに実績のある企業です。本キットは、4タイプのラインナップがあり、機能によって「松」「竹」「梅」に分かれています【★写真3】【★動画2】。


【★写真3】Robotic-Kitのラインナップ。4タイプを用意(機能によって松竹梅に分類できる)。

【★動画2】



梅にあたるエントリーモデル「Cタイプ」【★写真4】は、ホルダーがなく、コンジットチューブをマジックテープでダイレクトにロボットに固定する最も簡便なもので、値段も一番お手頃です。ただしロボットアームへの取り付けは、可動範囲や動き方(捻転など)によって、コンジットチューブに余裕を持たせて止める必要があります。


【★写真4】エントリーモデルの「Cタイプ」。
コンジットチューブをマジックテープでロボットに固定するタイプ。部品点数も少なくシンプル。


竹にあたるミドルモデルは、「UHEタイプ」と「SHタイプ」があります。UHEタイプは、Cタイプの上位互換で、ワンタッチ式のホルダーで、コンジットチューブをより強固に固定できます。SHタイプは2つの使用方法があり、コンジットチューブを固定するか、固定せずに前後にスルスル動けるようにすることができます【★写真5】。


【★写真5】ミドルモデル「SHタイプ」のホルダー。マジックテープでホルダーをロボットに取り付ける。
ホルダー径に余裕があり、コンジットチューブを固定、または滑らせる機構を選べる。


なお、いずれのタイプもワンタッチでコンジットチューブをホルダーに取り付けることができます【★写真6】【★写真7】。これは、Murrplastik社において製品全般の特徴といえるでしょう。


【★写真6】コンジットチューブ用のホルダー。
ワニ口のようにC型に開き、ワンタッチ式でロックするだけでよいので、取り付けが簡単だ。



【★写真7】写真のように、SHタイプはコンジットチューブを固定せずに滑らせることができる。


松にあたる「RSタイプ」【★写真8】は、最上位モデルになります。バネ機構を用いて、ケーブル負荷を最小限に抑えることが可能です。ケーブル負荷が大きくなると想定される場合には有効な選択となります。


【★写真8】Robotic-Kitの最上位モデルの「RSタイプ」。
ばね機構搭載なので、高速動作する(捻転する)ようなケースに適している。



通常ではアームがひねられると、当然ですがコンジットチューブが引っ張られます。そこで通常のタイプでは、あらかじめ長さを加味して、余裕をもたせて配置しています。

RSタイプでは、バネ機構がアブソーバ的な働きで衝撃を吸収しながら、コンジットチューブが最大160mmまで伸縮します【★写真9】。何度も高速に繰り替えして動作する(捻転する)ようなケースでは、こういった機能が求められます【★動画3】。


【★写真9】写真のように外側バネを取り付ける。アブソーバ的な働きをして、衝撃を吸収しながら、コンジットチューブが最大160mmまで伸縮する。

【★動画3】


このようにロボットに対するケーブル保護といっても、いろいろなタイプがあり、実は非常に奥が深いのです。ぜひ、それぞれの特徴とメリットを考慮して、自社のロボットに最適なRobotic-Kitを選んでみてください。詳細については、弊社の営業担当までご連絡をいただければ幸いです。

お問い合わせ

増田 将吾プロダクトマネージャー

主にMurrplastikやBinderを担当しています。
ヨーロッパの優れた製品を幅広く皆様にご紹介していきたいです。
週末にはボルダリングジムに通って汗を流しています。

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