産業用配線の“困りごと”解決講座 (特別篇~JIMTOF2016展示レポートその1)

2017/01/09

  • Murrelektronik

砂川 裕樹

産業機械と設備を敷設したスマートファクトリーのイメージを提示

第2回目の連載ですが、急きょ内容を変更し、特別篇を2回にわたってお届けします。実はケーメックスは、この11月に東京ビッグサイトで開催された「JIMTOF2016」(日本国際工作機械見本市)に出展したからです。

JIMTOFは、国際間の技術交流とビジネスを促進するために、2年ごとに開催される工作機械・関連機器の一大イベントです。今回は、日本を含め、世界21ヵ国・地域から、計1000社近い企業が参加しました。

近年、モノづくりの根幹を支える工作機械関連は、オートメーション化やロボット化の波に乗り、工場全体もスマートファクトリへとして進化を遂げつつあります。今回のJIMTOF会場内では、ここにきて毎日のように耳にするようになった「IoT」や「Industrie4.0」といったキーワードが見受けられ、多くのブースで来場者があふれていました。

とはいえ、こういった新技術によって具体的に何が実現できるのか、そのイメージを明確にイメージできていないという声も各所で聞かれます。どうしても言葉だけが先行してしまい、テクノロジーがバズワード化しているようです。

ケーメクッスは、以前よりIoTやIndustrie4.0を支える海外の優れた製品を数多く取り扱ってきました。そこで今回のJIMTOFでは「弊社がご提案できるIoT化とは何か?」という具体例をご提案するために、私たちの主要サプライヤー製品を総合的に組み合わせたデモンストレーションを実施しました。

Murrelektronik社のフィールドバス対応リモートI/Oや、制御盤内外機器を中心に、MOXA社の産業用Ethernet機器、海外規格に準拠したLAPP社の産業向けケーブル、FRABA社の各種センサなどを、まとめてご紹介しました。














展示ブースでメインを飾ったのは、やはりドイツ・Murrelektronik社の「CUBE67」です。CUBE67の詳細については次号以降に譲るとして、触りだけ簡単に触れると、





既存のフィールドバスに、防水機能付きI/Oを用いて、容易に制御盤内外の小型化や省配線化に貢献できる革新的なフィールドバス対応リモートI/Oです。

CUBE67を導入することで、大手のNC・PLCメーカー製品との接続が簡単になるだけでなく、これらの装置を変更しても、各種リモートI/Oやセンサ・アクチュエータの配線を変更しなくて済むようになります。電気設計の手間を省きつつ、全体の作業工数を削減することで、トータルなコストダウンを実現できるようになるわけです。

展示ブース正面には、このCUBE67とファナックのCNCコントローラを接続し、産業機械と設備を敷設した未来のスマートファクトリのイメージを提示しました。デモ全体の写真は、下記写真のとおりで、全体構成は制御盤内・操作盤、制御盤外、ライトカーテンを採用したセーフティゾーンに分けました。



今回は、操作盤にCNCコントローラ「FANUC Series 35i-MODEL B」を採用し、そこからEherNet/IPで、MOXAの産業用イーサネットスイッチ「EDS-205」と産業用無線アクセスポポイント「AWK-3131A」(IEEE802.1a/b/g/n)に接続しました。このイーサネットスイッチを経由し、今回の主役であるリモートI/O「CUBE67」のマスターにつなげています。ここからが制御盤外での構成となります。

CUBE67は、スタートポロジーによって、スレーブである配下の専用IOモジュールを4つまで接続することが可能です。煩雑だったケーブル類は、ハイブリッドケーブル1本にまとめられ、IP67防水構造のコネクタで簡単に接続できるようになります。1つのマスター(CUBE67)に対して、専用IOモジュール(8ch)×4台=最大32個のデバイスを接続できます。さらに拡張モジュールを利用すれば、専用I/Oモジュールを数珠つなぎに、ライン、ツリー接続等で連結することも可能です。

たとえばアナログ系のデバイスでは、温度/角度/距離などを計測する各種センサをつなげてデータを収集できます。デモでは操作盤ディスプレイ上に、これらの計測値をリアルタイムで表示させました。具体的なセンサとしては、CONTRINEX社の拡散反射型光電距離センサや超音波センサのほか、POSITAL社(FRABA社)の傾斜センサ、測温抵抗体なども利用しました。

一方、デジタル系のデバイス接続では、マニホールドバルブの開閉であったり、FRABA社のアブソリュート型エンコーダーからの信号を検出する事例を示しました。

このデモンストレーションのポイントは以下の3つです。

【1】省配線で工数を削減できること
【2】自動で段取替えが可能なこと
【3】故障予測が行えること

次回は3つのポイントの詳細と、CUBE67の機能として新たに加わる予定の「IO-LINK」(従来まではEherNet/IPには未対応)によるセンサ接続についてご紹介する予定です。

お問い合わせ

砂川 裕樹プロダクトマネージャー

Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。

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