【スマート工場EXPOレポート】機械のリモート監視がこんなに簡単に!?オールインワンのNexogateがスゴすぎる!

2020/05/12

  • Murrelektronik

砂川 裕樹



技適を取得!
スマート工場の実現を加速する待望のクラウドソリューション「Nexogate」

少し時間が空いてしまいましたが、お元気でしょうか? 砂川です。今回のコラムは、2月12日から3日間、東京ビッグサイトで開催された「スマート工場EXPO」について、ご報告したいと思います【★写真1】。


【★写真1】「スマート工場EXPO」の弊社ブース。今回の展示会では、
Murrelektronik社のスペシャリストが来日し、展示ブースのデザインからデモの企画、実演までを手掛けた。


弊社のブースでは、Murrelektronik社の製品を中心に展示しました。ただし、従来と少し趣が異なるのは、ドイツ本社からスペシャリストが来日し、パネルデザインから製品チョイス、デモまでを、本国仕込みで分かりやすく来場者に訴求したことです。

これまでの展示会は、旗艦製品となる防水リモートIO「CUBE67」や、産業用ケーブル、パワーサプライなどの制御盤コンポーネントを中心に紹介してきました。本イベントでは、まさに「スマート工場化」を具現化するために、より上位のシステムまで含めたIoT製品群の包括的なソリューションを提示しています。

その第一弾となるのが、通信機能付き簡易型IoTゲートウェイ「Nexogate」【★写真2】の動態展示です。これはゲートウェイのみの単体製品ではなく、無線通信機能を司るグローバル対応の「eSIM」と、同社のクラウドサービス「Murrelektronik Cloud」、さらにクラウド上のデータを見える化するダッシュボード、以上3つをひとつにパッケージ化した業界初のソリューションです。


【★写真2】スマート工場の実現を加速するクラウドソリューション「Nexogate」。
技適を取得し、国内でも正式販売が可能になった。写真は、SIMが内蔵されたIoTゲートウェイ製品。


Nexogateについては、以前に本コラムでも何度かお知らせしているため、ご存知の方も多いでしょう。詳細については、こちらの記事https://www.kmecs-automation.jp/techplus/detail_107.htmlをご覧いただきたいのですが、ようやく日本でも技適が取れて、正式発売の運びとなりました。

Nexogateは、工場ラインのセンサーなど、エッジデバイス側の情報を収集し、クラウド側に直接IoTデータをアップすることで、工場プロセスの分析や、生産性の合理化、予測保守など幅広いアプリケーションに活用できます。主な特徴は以下のとおりです。

・産業用イーサネット経由で機械のプロセスデータ(IOデータ)をクラウドへ伝送
・ひとつのNexogateにつき、最大64チャンネル(1チャンネル当たりmax2ワード)を
 割り当て可能

・モバイル通信(3G)なのでネットワーク構築が不要。機械にNexogateを搭載するだけで
 IoT化。

・設置先各国用のSIMカードの用意が不要。基板実装のeSIMにより、世界中どこからでも
 電源ON時に設定不要で自動ローミング

・収集したデータをダッシュボード上に描写し予防保全に活用
・ユーザ側で簡単に設定可能なダッシュボード
・必要な情報のみをクラウドへ伝送し、通信費用を最小限に抑える
・アラームをメール通知
・暗号化通信(TLS 1.2, AES-256)
・Profinet/EthernetIP/EtherCAT/OPC-UA


低予算からでもスタートできる!より安価なランニングコスト

お客様からよく質問をいただくのは、コスト面での話です。まずクラウド関連ですが、Murrelektronik社が契約しているドイツ・フランクフルトのデータセンターを利用しており、そこにユーザー毎にリザーブされた領域にデータが蓄積されます。ユーザーには追加の利用料金などは一切発生しませんので、ご安心ください。

通信料に関しては、通信データ容量分をプリペイド方式で購入する形式を採用しています。昔のプリペイド携帯電話のようなイメージで思い浮かべると理解しやすいでしょう。データ容量が足りなくなったら、あとから好きな分だけ追加で購入することも可能です。現時点で具体的な料金を明言できませんが、非常に安い料金になるでしょう。

というのも、もともとNexogateのコンセプトは、すべてのプロセスデータを無作為にクラウドにアップするものではなく、必要なデータだけを選別して(これをスマートデータと呼ぶ)、必要な送信間隔で送る仕組みになっているからです。データ更新もユーザー側で5分に1回、1時間に1回、1日に1回というように、利用シーンに合わせて柔軟に設定できます。

また、特定の信号をトリガーにして、変化が起きたタイミングでデータを更新することも可能です。例えば、1時間に1回の送信間隔で利用時に、エラーなどが起きた時に送信間隔を待たずに即座にデータを送信します。このほかにもデジタル信号が変化したタイミング、アナログ信号の閾値オーバーのタイミング、エラーが上がったタイミングで管理者にメールを送るといった設定をすることも可能です。

これにより現場視点では、作業員は一つの機械を付きっきりに担当するのではなく、メール通知ベースで対応をすることで複数の機械をまとめて担当することができるようになり、リモート視点では、ダッシュボード上で各機械の状況を知れるようになります。


2つのIoTアプリケーションのデモと、両者を統合した分析・管理画面を披露!

今回の展示ブースでは、このNexogateを活用した2つのアプリケーションのデモを実施しました。デモ機ではアプリケーション1と2が隣同士に設置されていますが、イメージとしてはそれぞれ別々の機械内に設置されていることをイメージしてください。異なるシステムから収集したIO情報を一つのダッシュボード上に描写することができます【★写真3】。


【★写真3】Nexogateを活用した2つのアプリケーションのデモ。
左側がRFIDタグのシステム、右側がエッジセンサー測定システム。これらをNexogateを介してクラウドにアップ。



アプリケーションその1は、RFIDタグのシステムです。リーダーでタグ情報をスキャンし、それらをコンパクトI/Oモジュールの「Impact67」https://www.kmecs.com/download/538経由にてNexogateに送り、3Gとインターネットネットでクラウド側にアップするデモを行いました【★写真4】。


【★写真4】アプリケーションその1。RFIDタグのシステム。専用リーダーに青い丸タグを近づけると
情報が読み込まれ、Impact67経由にてNexogateに送り、クラウド側にアップ。



余談ですが、なななんと、このRFIDリーダー、IO-Linkデバイスなのです。これまでRFIDで必要だったネットワークインターフェースモジュールやRS485モジュールが不要となり、機械のエッジ部でIO-LinkマスタにM12コネクタ接続するだけの優れものです!

一方、アプリケーションその2のデモは、複数のエッジセンサー(測温抵抗体およびアナログ距離センサー)から得られたデータを、同様にNexogateを利用してクラウドにアップするまでの流れを再現したものです【★写真5】。


【★写真5】アプリケーションその2。現場にある測温体および距離センサーから得られたデータを
Impact67経由にてNexogateからクラウド側に直接アップするデモ。



もちろんクラウドに蓄積されたデータは、PCからだけでなく、スマートフォンなどのモバイル端末から、いつでもどこでも視覚的なグラフとして閲覧できます【★写真6】。前述のような機械のエラーもアラートとして表示されますので、何かあればすぐに緊急対応できるようになります。


【★写真6】
クラウドに蓄積されたデータを分析・管理して、ダッシュボード上で視覚的に表示。
写真は、スマートフォンから閲覧した場合。サイトステータスや、データの計測値が分かる。


このようにMurrelektronik社のNexogateは、工場内の各種機械をIoT化し、データをクラウド上に蓄積、さらに可視化して分析することで、工場全体を容易にスマート化できるソリューションとして威力を発揮します。


Nexogateが本領発揮できるシーンとは?

・ロジスティックのコンベア用モータの温度データのモニタリング
・工作機械の稼働時間、生産数のカウント、現在のIO状態、主軸の振動データ、ベッドの温度データのモニタリング
などが挙げられます。

ここで個人的に注意してお伝えしたい点がひとつあります。
お客様のニーズでよく耳にするのが、モバイル通信でトンネリングして、リモートで客先に設置されたPLCのプログラムを入れ替えたり操作できるかといったお問い合わせですが、残念ながらできません。こういった用途の場合はセキュアなVPN通信を伴うルーターが必要となります。
Nexogateのベネフィットは、機械のIO情報の収集からモニタリングまでの作業を簡素化し、より簡単にそして低予算で機械の稼働確認できる点であり、一概にIoTゲートウェイと言っても市場には用途・ニーズ別に様々なタイプがあることにご注意ください。

もちろん高価格帯のIoTゲートウェイであれば、より多くのニーズを満たすことができますが、場合によっては本来のニーズに対して高すぎるソリューションとなりかねません。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。これからもMurrelektronik社は機械とITをつなぐ、IoT機器に力を入れていきます。
「うちの機械のこんなことNexogateでできるかな?」と少しでもご興味が沸いた方は、ぜひ弊社担当まで連絡いただければ幸いです。



お問い合わせ

砂川 裕樹プロダクトマネージャー

Murrelektronikのエキスパートになるべく奮闘しています。
お客様の問題点の解決や要望に応えられるよう日々勉強中です。
学生時代から鹿島アントラーズの熱狂的ファンでチームが勝つべく毎週全力応援。
時には残念な結果に終わることもありますが、敗戦をお客様の機械配線のご相談に引きずらないようオンオフの切り替えをしっかりしております。

関連製品

新着記事

戻る