2017 .3.6

1500A以上の大電流に対応できるコネクタ、ODUのシングルコンタクト

「ODU LAMTAC」

前回は、工場の検査ラインの自動化に最適なコネクタ・DOCKシリーズの事例を示しました。今回はガラリと話題を変えて、大電流用に適した単体コネクタについて触れたいと思います。

産業用途では、大電流を扱うシーンが数多くあります。たとえば、太陽光発電や風力発電、電気自動車の高速充電ステーション、溶鉱炉、停泊中の船舶、医療機器(高磁気を発生するMRIなど)、計測機器、軍事機器などでは、1000A近い大電流が流れることもあります。

そこで、こういった用途に適した特殊な専用コネクタが必要になるわけです。ODUでは、1700Aまでの電流に対応できる「ODU SINGLE CONTACT」をご用意しています。

大電流の場合は、コネクタ同士が勘合する際の接触面積と、その接触抵抗が重要なポイントになります。接触面積が大きいほど、大電流に対応できるからです。また接触抵抗が小さいほど良いとされます。なぜなら接触抵抗が大きくなると、そこで発生する熱も高くなってしまうからです。

復習になりますが、以前触れたようにODUには「スプリングワイヤー・コンタクト」という特許がありました。この方式は、ODUの創始者が工場で掃除をする社員のホウキの先を見て閃いたアイデアでした。

スプリングワイヤーにより、接触面積を広くとり、10万回(使用条件によっては100万回)の繰り返し着脱に対応できることが大きな特徴でした。そこでスプリングワイヤー方式を採用したODUの「SPRINGTAC」は最大連続950Aの大電流にも対応できるのです。

さて今回は、もうひとつ別のコネクタとして「ODU LAMTAC」を紹介したいと思います。こちらは接触部に「ラメラ」という構造を採用しています。スプリングワイヤーを用いたSPRINGTACと、ラメラを用いたLAMTACの相違点を下図に示します。ラメラもスプリングワイヤーと同様に、構造上は接触面積が広く、最大連続1570Aまでの大電流を流せるという特徴があります。

LAMTACの場合は、コストがSPRINGTACよりも手頃なため、お客様が好んで利用しているようです。ただし、コネクタの繰り返し着脱の保証回数は1万回になっており、SPRINGTACの10万回よりも少ない点に留意しましょう。

使用電流によって接触部が高温になると、スプリングワイヤーが劣化して、バネ特性が変化して使えなくなることもあります。そこで接触温度が130℃より高くなりそうな場合には、LAMTACをお薦めしています。

大電流コネクタは発火に気をつけること!

LAMTACもSPRINGTACもプラグ側(オス側)は共通仕様で、ソケット側(メス側)はいずれもコネクタ直径が0.76㎜~60㎜のラインナップを用意しています。また通常はソケット側にスプリングワイヤー、またはラメラが採用されていますが、プラグ側に同様の構造が採用されているタイプもあります。そのため、ほとんどの用途でご利用いただけます。

LAMTACもSPRINGTACもコネクタのソケット側、またはプラグ側にタップが立っており、ネジ式で筐体に埋め込めるタイプと、筒状になっている部分をケーブルと圧着して利用するタイプがあります。

ここで注意しなければいけないのが、ケーブルを圧着する際には、必ず専用の圧着工具を使う必要があるということです。コネクタ(ソケット/プラグ)の勘合が不適切であったり、コネクタとケーブルの圧着がうまくできていない場合は、接触面積に影響が出てしまい、大電流用を流した際に発火する恐れがあるからです。

したがって圧着作業を行う時は、ODU社が用意する適切な工具を使うようにしましょう。圧着工具にはのように、圧着方法とケーブル径によって4タイプから選択できます。

圧着方法には8点(4ヵ所×2点)で圧着する工具(ケーブル径0.08~2.5mm)と、ヘキサゴンで6角に均等に圧着する工具(ケーブル径2.5~6mm/10~50mm/70~500mm)があります。細かい点ですが、圧着作業は大電流コネクタの運用にとって重要なポイントになりますので、ぜひ押さえておいて下さい。