2017 .7.31

最適なODUコネクタ製品を選定できる12のポイント

利用シーンによって必要な要件と、プライオリティを整理してみる

これまで、さまざまなODUのコネクタ製品について紹介してきました。ODU製品は、産業用や医療用途など、高信頼が求められる現場で利用されるハイエンドなコネクタですが、「自社の製品にも使えるのでは?」「分野は違うけれど、ぜひODU製品を使ってみたい!」と、お考えの読者もいらっしゃるでしょう。そこで今回から少し視点を変え、ODU製品の選び方のポイントについて触れていきたいと思います。

では、自社にあった最適なODU製品をチョイスするためには、どうしたらよいでしょうか? コネクタをお客様に推奨させていただく前に、我々が必ずお訊ねするポイントは以下のとおりです。逆にお客様のほうで、これらの要件を求めていらっしゃるのかどうか、最初に点検していただくとよいでしょう。

□ 高い勘合回数
□ 防水性
□ ピン数(多極)
□ 電流・電圧値
□ 導通性(微電流、大電流への対応)
□ 複合(電源、信号、流体)
□ シールド
□ 操作性(勘合のしやすさ)
□ デザイン(設置のしやすさ)
□ 対応規格(UL、CE、MIL、医療企画など)
□ カスタム対応
□ お求めの数量とコスト
□ 装置全体の値段(コネクタは約5%)

ここから、ざっと各項目についてご説明します。まずコネクタ選びには「高い勘合回数」が重要となります。コネクタは一度取り付けたら固定される場合もありますが、利用シーンによっては何度も着脱を繰り返さなければならないことも多いのです。以前ご紹介した製造ラインでの製品テストや医療機器での利用では、コネクタの抜き差しが頻繁に行われます。その際に通常のコネクタでは、何度も抜き差ししていると、接点が劣化して寿命が短くなってしまいます。

そこでODUのコネクタ製品が大きな役割を果たしてくれるわけです。同社の製品は独自の「スプリングワイヤー・コンタクト」を採用することで、最大10万回(通常1万回)という驚異的な耐久性・超寿命性を有しています。他社のコネクタの挿抜回数は500回程度が限度と言われていますので、何度も繰り返してご利用する際の威力は絶大です。

また、コネクタに防水性が求められることもあるでしょう。たとえば医薬品や食料品を扱う機械システムの場合には防水性は特に大切です。

もちろん電気的な基本仕様についても、ODUは幅広いラインナップの製品を用意しています。微細な信号(微電流・微電圧)に対応したり、逆に1500A以上の大電流に対応できるコネクタもあります。また、IoTやスマートファクトリーに最適な高速データ伝送用のコネクタもそろえています。

複合という点では、電源ライン、制御ライン、信号ライン、流体ライン(圧縮エアや液体)などを、ユニット型のコネクタでまとめてしまうという発想です。これは「レゴブロック! 組み合わせ自在のコネクタ」としてコラムで紹介した「ODU-MACシリーズ」や、新ラインナップの「ODU-MAC Blue-Line」によって実現できます。

信号ラインではシールドもポイントになります。微弱な信号にノイズがのってしまうと、取り出したい肝心の電流・電圧が埋もれてしまったり、データとしての信号が誤ったものになってしまう恐れがあります。そこでコネクタのハウジングをGND側に落とすことで、シールドの効果を高められます。

操作性とデザイン性もコネクタ選びには欠かせない要素です。たとえば、製品に部品類を高密度に実装している場合、コネクタの設置場所によって、着脱がやりずらくなることもあります。ODU製品には、コネクタ同士を勘合する際のロッキングオプション(スピンドル式/レバー式)や、ケーブルアセンブリ後でも取り外しが可能な圧着クリップ機構などもあります。

自社製品を海外に輸出する場合、特に注意したいのが国際規格です。たとえば北米に輸出するときは、UL規格への対応は必須となります。耐環境性が求められるヘビーデューティ仕様や軍事規格への適用が求められることもあるでしょう。また医療系ではIEC 60601に対応するコネクタも用意しています。

そして最後はコネクタの数量とコストの話です。一般的に装置やシステムに占めるコネクタの割合は、全体の5%程度になるといわれています。それ以上になるとペイできません。たとえば数億円するような装置であれば、コネクタにもかなり予算を割けるかもしれません。しかし一台あたり数万円の製品では、ハイエンドなコネクタ製品はコスト的に採用が難しくなることも多いのです。

もちろん数量によってもコストは変わってきますが、製品全体の中でどのくらいコネクタなどのアクセサリ類に予算をつけられるのか、そのバランスを事前にシュミレーションしておくことも大切なポイントになるでしょう。このほかODU製品は、自社製品に合わせたカスタム仕様にも対応できます。もし何かコネクタ関係でお困り事がございましたら、ぜひ弊社にご相談ください。